砂漠に水

...Drop by drop shifts the desert to oasis.

第0755滴:都会の仕事と田舎の内職

お盆休みに東京から里帰りした中学の同級生と養老乃瀧で飲んでいたとき、 そいつが「油断を許さない」と連発した@まったく酔えなかった杉山です。

ちなみに、それを言うなら「予断を許さない」と一般的には言っています。

ですから、言葉の間違いよりもそれを使う場面が多いことの方が問題です。

さぁ、そんな慶応からリクルートへ入った彼は酒を飲みながら泣いていた ってハナシはバシッとやめて、今日もサラ~ッとお読みください。

■きっと東京に行けばなんとなくいいことがあると思ったのでしょう。

私は名古屋大学を蹴って慶応に行った時点で間違いだと言いました。 それに岐阜で生まれ育った人間にとっての最高学府は岐阜大学です。

■だから、慶応に行くアタマがあるのなら、

きっと岐大を主席で卒業できたはずです。 すると岐阜の中では一生食って行けます。

■そして、娘たちの夏休みもやっと終わりに近づいた頃、

下の娘が私の部屋に来て不思議そうに質問をしました。 「なんでパパは家にいるのにみんなは会社に行くの?」

■ほんの一瞬、背筋に弱電流が走りましたが、

すぐに気を取り直して冷静に対処しました。 ドアを閉めて密室状態にしてお話しました。

■「外に行かないとね、お金がもらえないと思っているんだ」と父。

「パパみたいにパジャマでヒゲもじゃの方が楽じゃないの」と娘。 「そうなんだけどね、このヒゲもネタに使っているんだよ」と父。

■「ママも最近、ネタがないって言ってるね」と次女は笑って言いました。

きっと岐阜の中では“ネタ”と言う言葉を最も多用するファミリーです。 で、養老乃瀧で『雪国』を口ずさみながら酒を飲む同級生に言いました。

■「岐阜で稼ぐ1万円より東京で稼ぐ1万円の方が、

ちょっとばかしカッコいいとか思ってんだろ?」 「そんなことないけど、そう思ったかも知れへん」

■「お前な、常識で考えりゃ物価が3倍以上も違うんだぞ」と私が言うと、

「そやな、当たった都営住宅から一生出られんと思うわ」とまた泣いた。 「お前はアホなんやて。俺は中学のときから勝負は岐阜やと思っとった」

■3分後、そいつはさらに激しく『雪国』を口ずさみ出しました。しかし、

多くの人は外で稼ぐことを仕事と言って家で稼ぐことを内職と言います。 だから、都会に憧れるのは外出しないと稼げないと思っているからです。

┃編┃集┃後┃記┃───────────────────

スーツを着てネクタイを締めないような仕事などしない。 そんなことを大学4年生の春の頃に私は言っていました。

それが今ではこの有様です。そんでもって、 ネクタイの結び方さえも忘れかけています。

だから、墓石屋とかお好み焼き屋で稼いだアルバイト代を 毎月DCブランドに投じた学生時代が少々、恨めしいです。

よく個人で働いている人たちの中でも、 自宅だと気が乗らないとか言いますが、

それは都会が仕事で田舎が内職だと思っているからです。

要は、外に行かないとお金がもらえないと思っているか、 外でお金をもらった方がカッコいいと思っているんです。

では、また明日、お会いできることを楽しみにしております。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━