砂漠に水

...Drop by drop shifts the desert to oasis.

第0865滴:立つ鳥の最後の遺言

5ヶ月前に初めて行った床屋から「モデルになる?」と電話があったので、 喜んで出掛けたら北島三郎カットのモデルだった@黙って帰った杉山です。

ちなみに、十数年も美容院に通っていたので床屋のお考えが分かりません。

ですから、石川県に夜釣りに行くこと以外のお話ができないのでしょうか。

さぁ、そんな耳の掃除をしてもらったときは気持ちがよくて失神しかけた ってハナシはバシッとやめて、今日もサラ~ッとお読みください。

■今までに知り合ったどれだけ立派で優秀な社長でも、

まるで談合のように口を揃えて言う言葉があります。 それは「立つ鳥跡を濁さず」という美しい言葉です。

■そう、自社を去って行く社員に対して吐く言葉です。

それが自主退社であってもクビであっても同じです。 要は、対外的にも社内的にも円満な退社を装います。

■君が辞めることに関しては、

君も会社もだれも悪くない。 ただ縁がなかっただけだよ。

■それを「立つ鳥跡を濁さず」という言葉の中に集約しています。

だから、できるだけお客さんにも同じフロアーの仲間たちにも、 波風を立てずに引き潮のように静かに立ち去って欲しいんです。

■そして、社長が辞める社員に気を遣うその訳は、

新しい担当者へと引継ぎをして欲しいからです。 だから、それまでは絶えずニコニコしています。

■しかし、そんなものは単なる会社のわがままに過ぎません。

だって、辞める社員は新しい会社のことで頭が一杯ですし、 小さな会社を去って行く男性に円満な退社はあり得ません。

■跡を濁そうがどうしようが辞める社員には関係はないんです。

それに引継ぎをしたところでその会社は10年も持ちません。 去って行く社員は住宅ローンのことさえ考えればいいんです。

■しかし、たった一つだけ心残りなことがあります。

それは仲のよかった同僚とのそれまでの関係です。 だから、その同僚に最後の遺言を託せばOKです。

■「なにかあったらすべて俺のせいにすればいい」と言えばいい。

なにか問題が発生したら「前の担当が最悪で…」と言えばいい。 すると絶対に社長もお客さんも心から今の担当者に同情します。

┃編┃集┃後┃記┃───────────────────

来月から新しい会社に始発で行かなきゃいけないのに、 去る会社の引継ぎなどやっている場合じゃありません。

もう辞めるんだから。もう給料はもらわないんだから。

するとほとんどの社長は「そんなことは人として許されない」と、 急に孟子か孔子か分からないような人格者ぶって説教を始めます。

でも、その社員は社長が今まで裏でなにをやっていたのかを すべてお見通しです。いくら人格者ぶっても軽くて薄いです。

面と向かって「立つ鳥跡を濁さず」と言ったところで、 それはきっと北海道の釧路湿原に舞う丹頂鶴のことで、

カラスのように扱われてきた社員には関係ありません。

都合のいいときだけ美しい言葉を引用してもだれも聴きはしません。 それに日頃から感謝をされるような社長にはだれも唾を吐きません。

満足な引継ぎもしてもらえないのは社長が悪いだけなんです。 去って行く社員に文句を言う前に自分を見つめ直すことです。

では、また明日、お会いできることを楽しみにしております。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━