砂漠に水

...Drop by drop shifts the desert to oasis.

第1363滴:誠意の証~フランク永井はもう歌わない

午後3時。私が太極拳のマネをしていると電話が鳴った。若い声の女性が、 早い口調で「1分だけお時間を下さい」と言った@秒針を眺めた杉山です。

ちなみに、岐阜駅前にできたアークとかいう名前のお店の宣伝らしいです。

ですから、秒針を目で追うのが精一杯で話の中身はなにも覚えていません。

さぁ、そんな秒針が一周すると「それまで!」と言って受話器を下ろした ってハナシはバシッとやめて、今日もサラ~ッとお読みください。

■あれは忘れもしない私がまだ高校生の冬のことです。

島耕作が勤める初芝電器のモデルとなった大企業の 本物の課長が我が家の玄関でズッと立っていました。

■私の親父は、その大企業のお得意先の役員だったのです。

きっとつまらないことで親父の逆鱗に触れたのでしょう。 寒い夜に課長は、玄関先で1時間以上も立っていました。

■そのとき当の親父と言えば、いつもより長めに湯船に浸かり、

フランク永井の『有楽町で逢いましょう』を歌っていました。 外まで響き渡るような大きな声で10回はリピートしました。

■バツが悪いお袋は「あがって下さいよ」と何度も言いましたが、

本物の課長は「いえ、ここでお待ちします」と頭を下げました。 私は、親父に対して「なんちゅうことすんのや」と思いました。

■それが、10代の青年が大人の社会を垣間見た率直な感想でした。

それからしばらくして、本物の課長が転勤することになりました。 それを一番悲しんだのが親父でした。2人は仲良しだったのです。

■湯船でフランク永井っていたのに一体、なにがあったのかしら。

それは、本物の課長が親父になにかしら贈り物をしたからです。 どんなに罵倒されても物を贈って解決しないことはありません。

■どんな苦情や文句があっても、物を贈れば必ずカタがつきます。

問題は、その贈り物の中身と贈り方なのです。ほとんどの人は、 高価&珍しい物を使い切れないほど贈りつけて安心しています。

■バカ。それでは火に偽装したオリーブ油を注ぐようなものです。

うち、4人家族だぞ!それに子どもは2歳になったばっかだぞ。 10人前のフォアグラなんてどう処理するんだよ?と憤ります。

■せっかくの贈り物が、かえって溝を深くします。

適量と適材を午後の9時に持って行くことです。 絶対に誠意は物に置き換えないと伝わりません。

┃編┃集┃後┃記┃───────────────────

>適量と適材を午後の9時に持って行くことです。

なぜ午後の9時なのかは今のところ分かりません。 成り行きで書いたので理由が判明しておりません。

まぁ、その時間帯が会社と個人を切り分ける分岐点のような気がします。

こんな遅くに来たんだから…というのが1つ。 これよりも遅いと逆に迷惑…というのが1つ。

法廷での誠意の証は、お金しかあり得ません。 社会での誠意の証は、贈り物しかないのです。

人間は、安いものです。

それさえ腹に落ちていれば、怖いものなんてありません。 どんな苦情や文句があっても通販カタログで解決します。

では、また明日、お会いできることを楽しみにしております。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━