砂漠に水

...Drop by drop shifts the desert to oasis.

第1368滴:マダムとマリと吉祥寺

昨日、長女が高校の遠足でラグーナ蒲郡まで岐阜バスで行く予定でしたが、 36.8℃の微熱があったので休んだ@とっても可哀想に思った杉山です。

ちなみに、ラグーナのサイトにライブ映像があるので2人で観ていました。

ですから、腹が立つほど天気がよかったので「雨よ降れ!」と念じました。

さぁ、そんなその前日に渡したお昼ご飯代の3000円を返してくれない ってハナシはバシッとやめて、今日もサラ~ッとお読みください。

■年の頃は50代前半といったところか。

無愛想ではあったが、どこか品があり、 凛とした気高さを醸し出す女性だった。

■彼女は、1日おきに吉祥寺にある美容室へとやって来た。

そう、シャンプー&ブローのためだけに。新人のマリは、 お店でも1番の上客である彼女の髪を怯えながら洗った。

■マリは、彼女のことを鼻にかけたマダムだと思っていた。

マダムの髪を丁寧に洗ったが、シャンプーが終わっても 無愛想で満足をしているようにはまったく見えなかった。

■かと言って、文句を言う訳でもなかった。ある日、

店長が「彼女はどうですか?」とマダムに訊ねた。 すると「まだまだね…」と溜め息まじりに答えた。

■その会話がタオルをたたんでいたマリの耳に入った。

いつもと同じように1日おきにマダムはやって来た。 マリは、泣きたくなる気持ちを抑えながら頑張った。

■それから半年が経ったある日。マダムが口を開いた。

「あなた、なかなか頑張ってるじゃない」と笑った。 初めてマリに話し掛けた。初めて見せた笑顔だった。

■「そ、そうですか!」とマリは涙目で喜んだ。隣の店長が笑った。

「あなたの指先から頭皮を通して気持ちが伝わるのよ」と言うと、 「この人を満足させようと頑張る気持ちがね」とマダムは笑った。

■マリは、私に「お客様が私を育ててくれたんですね」と言いました。

技術も大切だけど心がこもっていない技術など1cmも伝わりません。 丁寧にやっても想いは伝わりません。込めた心は技術に優先します。

┃編┃集┃後┃記┃───────────────────

後日談ですが、マダムはマリにチップとして、 「気持ちよ」と5000円を渡したそうです。

職業は、ある大物政治家の私設秘書なのです。

まぁ「ある大物」という辺りがウソっぽいですが、 紛れもなく純度100%のノンフィクションです。

ただ、物語の展開上、マリを過剰に美化しました。 残念ながら、性格がいい女性とは言えないのです。

裏返せば、こんな女でも心を込めることはできるのです。

優れた技術だけではあなたの想いは絶対に伝わりません。 心を込めて取り組む姿勢が相手の気持ちを揺さぶります。

今でもマダムとマリは吉祥寺のお店で無意味に元気です。

では、また明日、お会いできることを楽しみにしております。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━