砂漠に水

...Drop by drop shifts the desert to oasis.

第1664滴:路上にもゼニは落ちている

「グラウンドにはゼニが落ちている」とは、 その当時、南海の監督だった鶴岡一人氏が放った有名な言葉だが、

実際にそこら中にお金が落ちているということを思い知らされた。

先日、JR名古屋駅のホームで岐阜行きの電車を待っていると、 1人の中年男が自動販売機の下に手を入れてモゾモゾとやっていた。

ホームに並んだ人々は気味が悪そうに目線さえ外していたが、 私は面白そうなので「ちょっといい?」と言って、

そのまま構内にある安っぽい喫茶店へと連れて行った。

そこで延々と話を聞いた。どうやらその中年男は、 路上に落ちている「ゼニ」だけを拾って暮らしているようだった。

乞食と言えばそれまでだが、それでも月収15~20万円になる。 当然、月によって並みはあるものの、そこらのパートよりも上だ。

一生懸命にスーパーのレジを打って約8万円。 自動販売機の下に手を入れて15~20万円。

どちらがいいか悪いかではなく、 両者を比較することがバカげているのも確かだが、

これが現実の世界だというのも紛れもない事実。

このような中年男が毎月15~20万円もお金を拾う今の世の中で、 世間やマスコミが騒ぎ立てるほどの貧困や困窮が本当にあるのだろうか?

派遣切りに遭って「財布の中には4円しかない」とテレビに映っていたが、 足元の路面には毎月15~20万円も落ちている。

拾うか拾わないか、その気があるかその気がないかの違いだけだし、 コンビニで働けば、食う分には100%困ることはない。

暖かくなれば土手の斜面にツクシも生えてくる。

理想という頭上の華やかな世界ばかりに憧れていないで、 現実という足元の路面をジッと眺めてみることも大切なことだと思う。

┃一┃筆┃後┃記┃───────────────────

中でも自動販売機の下が最も効率がいいらしい。

下手をすると一日に2万円くらい拾うこともあり、 月収30万円を超えることもしばしばあるそうだ。

たまに500円硬貨も落ちているらしく「それを落とした人は、 恥ずかしくて自販機の下に手を入れられなかったんだろう」と、

中年男は冷めた珈琲をすすりながら笑って言った。

当然、拾得物で暮らすことがいいことだとは思わないし、 交番に届けることが本当だとは思うが、これが現実の世界であることも事実。

路上にもゼニは落ちている。

そう思えば、いざとなったら何とでもなるし、 1円にもならないような腐ったプライドさえ捨てれば食ってはいける。

種類の違うストレスはあるものの、毎日に達成感はある。

では、また明日、お会いできることを楽しみにしております。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━