砂漠に水

...Drop by drop shifts the desert to oasis.

第1691滴:おでんに見る全国区

ネットの普及により全国の垣根が低くなって来た感じがしますが、 自分の身の回りに目を落とせば必ずしもそんなことはありません。

たしかに昔に比べて物販のインフラは整って来た反面、 その土地土地の癖というか県民性はかえって露骨になって来た気もします。

テレビで『ケンミンSHOW』という低予算の番組が成り立つのも、 そんなことが起因するのではないでしょうか。

地域が違うということは、人種が違うということと同じです。

ということは、同じ日本人に対して品物を売ろうとしても、 その土地土地によって打ち出し方を変えないと売れません。

例えば、大阪の八百屋で「おじさん、これいくら?」と聞くと叱られます。 大阪では「おっちゃん、おばちゃん」と言わないと酷い目に遭います。

常識では考えられませんよね? これは、日本語が通じないのと同じことです。

このように訴えかけたいことは1つなのに、 打ち出し方を間違えると「なめとのか、ボケ!」と理不尽な目に遭います。

そこで私は今、日本各地の癖をエクセルに一覧でまとめています。

以前は簡単でした。その地域で一番人気のあるプロ野球チームを調べ、 色で区分けするだけでしたので。

同じ静岡県でも御殿場は巨人、浜松は中日という具合に。

でも、今ではFCの本拠地が安易に変わりやすいので、 チームの土着性が非常に希薄なものとなりつつあります。

私は今、月曜日の朝っぱらから、何を一生懸命に語っているのでしょうか。

そこで自分なりに考え出した法則が、おでんに見る全国区です。

その地域の県民性を計るためには、プロ野球のチームでも方言でもなく、 生まれながらに体に染み付いた食べ物を調査しようと思い立ったのです。

中でも最も庶民的でどこにでもある「おでん」にスポットを当てました。

おでんの食べ方、出汁、薬味、具材などは、その土地土地によって、 「おっちゃん≠おじさん」以上に異なるものです。

例えば、一般的に関東では濃い出汁が、関西では薄い出汁が好まれます。

でも、それをさらに掘り下げて全国を細分化すると非常に面白いです。

静岡県のおでん(発音:しぞーかおでん)は、イワシの削り節や鰹節や 青海苔をかけて食べます。また、おでん店だけが軒を連ねる飲食店街もあり、

なんとそこらの駄菓子屋でもおでんを販売しています。

私が見捨てたうどんの聖地である香川県では、必ずと言っていいほど うどん店で副食としておでんが販売されています。香川県らしい発想です。

そして私が生誕し、ご幼少の頃から親しんだ東海3県では、 絶対に味噌おでんです。

20歳になるまでおでんにつけるのは八丁味噌しかないと信じていました。

~ 無意味に長くなりそうですので、一筆後記へと続きます ~

┃一┃筆┃後┃記┃───────────────────

地域が異なれば、同じ品物を同じ表現で売ろうと訴えかけても、 先ほどの「おっちゃん≠おじさん」のように通じません。

それどころか逆に溝が深まってしまいます。

琴線に触れようと考え練ったキャッチが、 逆鱗に触れてしまうことも多々あります。

全国を商圏にしたいなら、もう少し地域性というか、 土着性までひっくるめた県民性を考えた方がいいと思います。

「今回は、最も影が薄い栃木県の方だけにお届けします!」というのも それなりに面白いのではないでしょうか。

おでんの食べ方、出汁、薬味、具材などを47都道府県別に分類すると、 今度は市町村レベルにまでさらに絞り込んで調査します。

44歳にしてはじめて九州地方で使う薬味の柚子こしょうを知ったので、 それまでの私にそれを売ろうとしてもカメの腹筋と同じくらい無理です。

東海3県では、絶対に味噌おでんだと安土桃山時代から決まっています。

日本は、狭いように感じて結構、広いものだと思います。

では、また明日、お会いできることを楽しみにしております。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━