砂漠に水

...Drop by drop shifts the desert to oasis.

第1702滴:予算~大と小の決定的な違い

一部上場企業の経営戦略部署に7年ほど勤めていた男性が独立し、 中小零細企業のコンサルタントをやっています。

私は彼のことを敬意を表してインテリ君とそう呼んでいます。

7年間にそこそこの成果を上げ、それなりの自信があったからこそ 独立したのですが、現実はそれほど甘くなかったみたいです。

プロフィールと肩書きと見てくれだけは立派なので、 開業と同時に数十社の“クライアント”が集まりました。

クライアント。私が大嫌いなカタカナです。 お客さんと呼べ!と思いますよね。

クライアントは集まったのに、肝心のその成果を導き出せません。

「あなた、本当に○○会社の経営戦略をやっていたの?」と 3人の従業員を抱えるクライアントから嘲笑されるほどです。

では、どうしてインテリ君は上手く行かないのでしょうか。 答えは、超簡単です。最近、この超簡単シリーズがお気に入りです。

大企業はゲームです。コケたところでだれも損をしません。 たしかに株券は紙くずになるので株主には迷惑を掛けますが、

もともと余裕のある連中がアブク銭を張っているだけなので、 基本的にはリアル版人生ゲームのようなものです。

ところが、中小零細企業はそうではありません。 会社がコケたら社長をはじめ、役員連中は自宅まで失います。

それこそ虎の子のお金を投じて商売をやっているのです。

そして、決定的に違う点。それは、予算があるかないかです。

大企業には予算があります。ところが一方の中小零細企業では、 予算など見たことも聞いたこともありません。

そう、これがインテリ君の理解できなかった部分です。

大企業は、予算を減らす(使い切る)ことが仕事です。 つまり、あるものをなくすことに注力する。

もっと言えば、経営戦略部署なんて浪費することしか考えません。

しかし、中小零細企業は、もともと予算という発想すらないし、 何もないところからいかにして売上げを作り出すかを考えます。

もっと言えば、無から有を生み出すことしか興味はないのです。

使い切ることしかできない人間に、 生み出す苦労など理解できません。

たったそれだけのことですが、この差は象と蟻ほど違うものです。

┃一┃筆┃後┃記┃───────────────────

私の知り合いに日本でもベスト3に入る製薬会社の営業マンがいますが、 5人の営業1課で毎月500万円の経費を使わなきゃいけないそうです。

いいですか、使わなきゃいけないのです。しかも年間ではなく月間です。

その予算を使い切らないと次月の予算が減額されるからです。

だから、毎晩のようにクライアントと飲み歩き、 肝臓と胃腸をボロボロにさせてしまうのです。

薬の売人なのに。

そんな人間に、中小零細企業を立て直すことなど絶対に無理。

お金を使うことしかできない人間に、 お金を発生させることはできません。

今日もヤル気など1cmもなかったのに、 素晴らしいことを言ってしまったそんな気がする。

ヤル気があってもできない奴&やらない奴もいれば、 ヤル気の欠片もなくてもやり切る奴は腐るほどいます。

では、また明日、お会いできることを楽しみにしております。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━