砂漠に水

...Drop by drop shifts the desert to oasis.

午前中だけ頑張った自分へのご褒美に珈琲プリンの甘いティラミス

まるでマッターホルンのように高くそびえる珈琲プリンをバタークリームの小高い丘が立ち塞いでいた。さらにそこに至るまでの長く険しいワインディングロードが僕の心を揺さぶった。「ショートカットはできない」。そう、人生と同じだ。僕は車を運転するとき、一般道ではセンターラインのある広い道を好み、60キロ以上を出さない。高速でも80キロで走る。するとスズキのアルトにさえも風のように追い越される。だがその15分後、養老SAに入った僕は15分前のアルトと再会する。そう、急いだところで目的地にたどり着く時間は同じなんだ。弘道が近道をしたところで極道にはならないんだ。柱時計の短針は「2」を大きく回っていた。「ティラミスはラミレスともアラミスとも似てる」。僕は小さく微笑むと午前中だけ頑張った自分へのご褒美に一歩を踏み入れた。