砂漠に水

...Drop by drop shifts the desert to oasis.

伊勢うどぅん

正直、それほど食欲はない。だが、食べないと間違いなく死んでしまうだろう。猫も杓子も帽子もメッシも「東京オリンピックおめでと~♪」と騒いでいる真っ最中だが、ついこの間まで「僕って東京オリンピック生まれなんだ」と言っても「へぇ~」という無機質な返事で終わった。下手をすると「ケネディ大統領が暗殺された翌年」のほうが話の展開上、食いつきがよかったりもした。また、平成生まれの若僧たちからすれば、東京オリンピックは「大化の改新」や「大政奉還」と同レベルで歴史上の出来事のように思えるらしい。今の若者に足りないものは遠近感だ。せめて「ロッキード事件」くらいにとどめてもらうとそろそろ発酵し始める同い年の近藤梨花子ちゃんも喜ぶだろう。私が56歳になった年に2回目の東京オリンピックが開催される。そこで大先輩である私から、その年に生まれる後輩たちへメッセージを贈ろう。「私は東京オリンピック生まれなんです」というフレーズを最初のツカミに使えるのはせいぜい28歳までだ。その後は歴史上の出来事となる。そこが君たちの生きた化石への入り口さ。