砂漠に水

...Drop by drop shifts the desert to oasis.

消えた女社長

「今の事業の中で○○がしたいんだけど私って間違ってる?」「あぁ、間違ってる」「え?なにが?どこが?」「何がしたいかじゃなくて今、何ができるかが肝心なんだ」「そんなこと言ったら夢も希望もなくなっちゃうじゃないの」「1円にもならない夢や希望など一切要らない。あんなものがあるから身を持ち崩す奴が増えるんだ」「やめてよ、人生がつまらないものになるわ」「人生は楽しいものじゃない。振り返って思い出を楽しむものだ。だから絶えず『楽しかった』と過去形なんだ」「でも、○○がしたいの」「今できることの延長線上に○○があればOKだが、なければ時間とお金をドブに捨てるだけだ」「あなたっていつもクールね」「そうだ、クロネコも常温よりクール便が好きなんだ」「わかったわ、私の負けよ。今できることにエネルギーを注ぐわ」彼女はそう言うと脚を丁寧に組み直し、「あなた、クビよ。来月からもう来なくていいわ」と微笑った。この物語は多少いじったものの悲しいくらいにほぼ実話です。