砂漠に水

...Drop by drop shifts the desert to oasis.

完成まで2時間半の几帳面なビーフシチュー

中学2年までは右手で触ったら左手でも触らないと気が済まない左右対称の美学を探求していた僕は、その癖(へき)を見事に見破った親父から「お前、それは変態だぞ」と注意され、覚せい剤から足を洗うかの如く必死に我慢して今日に至る。だからと言って右の頬を殴られたら「左もどうぞ」と差し出すことはなかった。教科書のページを折るのが嫌で60度の角度で開いて勉強していたために奥のほうの文字が読めずに学校の成績が今ひとつだった。それを三者懇談の席で主張したのだが誰も理解してくれなかった。天才を理解できる凡人はいない。「歳を取ったら雑になれる!」と期待していたのだが、最近では今まで以上に几帳面になっている気がする僕がいる。いいかい、想像してごらん。自分の部屋を掃除するときに爪楊枝と麺棒を使う美中年の後姿を。まだシャブ中だったぜ。どうすればそこらの一般ピーポーみたいに雑になれるのだろうか。このままだと文字を書くときに三角定規を当てるステキな人間になってしまう気がする。