砂漠に水

...Drop by drop shifts the desert to oasis.

引き際の美学と生え際の美額は似ているようで全然違う

水谷豊が『相棒シーズン16』の視聴率が「平均で15%を切ったら番組をやめる」と漏らしていたらしいとのこと。ただでさえ録画人口が増えてリアルタイム視聴者が減る昨今では10%を超えればハイジと暮らしているのはアルムおんじいや、御の字だろうに。かく言う僕もさきほどまで録画した『相棒』の映画バージョンを見ていた。例えば、将棋は相手の王将を取ると勝ちなのだが、実際には王将を取ることも取られることもない。どうあがこうとも次に王将を取られてしまう状況に陥ったら投了となる。その際に「負けました」と言うか、無言で頭を下げて自分の駒台に手を置くことにより意思表示をする。素人からすれば「え?どっちが勝ったの?」というくらい先を読んだ攻防の世界。相手が見落としている可能性もあるだろうから「もっとあがきゃいいのにねぇ」と思ってしまうが、そこは引き際の美学とでも言うべきか。あの世界の王選手は、引退した年でもホームランを30本も打っていた。他の選手なら大喜びする立派な数字だが、王選手だからこそ引退に値する数字だった。こんなことをあーでもないこーでもないとぼやきながら見ているために物語の複雑な展開と物理的に暗い画面に脳ミソと視力がついていけない僕がいた。それにしても杉下右京の額の生え際は美しい。

『相棒』劇場版IV