砂漠に水

...Drop by drop shifts the desert to oasis.

僕のような小心者の消費者が最も望むこと

今日も昭和のザ・職人がやってきた。プチ大都会ゆえに我が家は外回り用に井戸水を利用している。その汲み上げるポンプが寿命を迎えたので十数万円もする新品に交換することとなった。ただでさえ猛暑で体が衰弱しているっちゅうのに杉山、さらにつらい。いいかげん、僕を肉体的にも精神的にも金銭的にもイジメるのはやめにしたらどうなんだ。よくしゃべる職人は「50年前にもお宅の仕事をやりましたよ」と笑った。何とこの職人が独立した昭和40年代の中頃、最初に取り掛かった仕事が義父が営んでいたパン工場の水道工事だったとか。ふ、安易に喜ばないでほしい。だからと言って、今回の工事費用がお安くなるわけではない。確実に消費税は10%だ、この野郎。おっといけねぇ、取り乱しちまったぜ。幼い頃から電気と雷は苦手で怖くて怯えてほぼ漏らす文系を絵に描いたようなド素人の僕が見ても見事な手際で完璧な工事だった。ような気がする。帰る間際に職人は「ポンプの保証とは別に何かあったら何でもすぐに連絡してね」と言って汗だくの白髪を右の肘でかき上げた。ほら、ご覧。こんな感じで炎天下に僕がうちわであおいでいたんだよ。工事がちゃんとできる職人は腐るほどいる。が、それは最低限の仕事であり消費者が最も望むことは「何かあったら何でもすぐに連絡できる」という安心感を得ることだろう。はぁ、立っているだけで見事に日焼けしちまったぜ。

井戸水のポンプを設置する都筑正司さん