「ねぇ、このカラフリーな4つの物体ってカヌレじゃない?」「うん、そうだよ」「ねぇ、お店の雰囲気もステキじゃない?」「うん、そうだね」「ねぇ、岐阜市なの?」「うん、加納新本町だよ」「ねぇ、今から行ってくるわ!」「うん、定休日だよ」。旧中山道沿いの【三ツ又町】を散策した一昨日の帰りに岐阜市では唯一だと思うカヌレ専門店の『saco』に〆で立ち寄った僕がいた。明治、若しくは大正時代の洋館をほうふつさせる重厚な店舗に一歩足を踏み入れるや否や極めてシンプルな空間が目の前に広がった。以前の加納村松町では4年、加納新本町に移転してからは2年、合わせてほぼ6~7年のカヌレ専門店だが、客がひっきりなしにやってくるから驚きだ。案の定、僕の前に2人、僕の後ろにも2人の客がいた。おもむろにショーケースの中をのぞくとバニラ、チョコレート、オレンジチョコレート、ヘーゼルナッツ、抹茶の5種類が並んでいた。それはまるで宝石のようだった。その中から初っ端のバニラを除いた4種類を1個ずつ買った。猫も杓子もバカのひとつ覚えみたいに安い命を削って映えることだけにエネルギーを注ぎまくる今日この頃、そんな風潮などまったく気にもかけていないスマートなカヌレの立ち姿が美しい。
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