浅尾美和どころか鬼すらいなかった【可児】を歩き回った一昨日の僕は、名鉄可児川駅に程近い場所に佇む『笹幸』を計画的に訪れた。見るからに地域に密着した老舗の和菓子屋の風情と趣が漂っていていい。「みかん大福は1個だけでもいいですか?」「はい、大丈夫ですよ」女将さんが微笑んだ。「それと栗なごんをください」「はい」。僕は小ぢんまりとした店内を丁寧に見渡すと「創業は何年ですか?」と小声で尋ねた。すると「え~と、主人のお父さんが伊勢湾台風の年に創業したので70年くらいでしょうか」と商品を包みながら女将さんが答えた。速攻で調べたら伊勢湾台風は昭和34年9月26日に上陸したので創業65年だ。誠に残念なことではあるが、その年は「世界のアツロー」が生まれちまった年なんだよ。それはそうと先代からの味と技術を受け継いだ二代目のいい仕事っぷりが発揮された「みかん大福」を名鉄可児川駅構内のベンチに座って満喫した。凍ったミカンが丸ごと入っているので猛暑の夏には打って付けの一品だろう。最後に自宅まで大事に持ち帰った「栗なごん」をサンプルと同じようにカットすると熱い珈琲と共に舌で転がした。ふと思ったのだが、冒頭の浅尾美和と鬼は逆じゃないだろうか。まあいい。
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