大胆な気分転換と幾ばくかの涼を取るべく琵琶湖の北に位置する余呉湖を訪れた一昨日の僕は、その帰りに当然のように【長浜】に立ち寄った。いつもの黒壁スクエア界隈に行ったらあーた、大通寺の夏中法要の縁日である「夏中さん」で多くの屋台などが立ち並び何気に賑わっていた。死ぬほど暑いし人ごみは大嫌いなので通り筋を変えて主たる目的である『親玉本店』を訪れた。ほら、ご覧。威風堂堂を絵に描いたような偏差値75レベルのステキな店構えじゃないですか。この場合は「佇まい」ではなく「店構え」のほうがより似合うだろう。長浜を頻繁に訪れている長浜LOVEの僕なのに5日前の午後2時5分までその存在を失念しておりました。僕のバカ。
店内に一歩足を踏み入れると「勝手に想像していたよりはるかにキレイじゃん♪」という空間が広がった。純粋にいい店ですな。ふとショーケースから目を上げると大正末期の証言者のような柱時計が正確な時を刻んでいた。「飾りじゃないんですね?」僕は柱時計を見て言った。「はい、合っています」女将さんが答えた。つくづくいい店だ。「白と赤は何が違うんですか?」「これは皮の色が違うだけで中身は一緒です」「では、親玉饅頭を10個と麩まんじゅうを3つください」「はい、親玉饅頭は白と赤を半分ずつにして入れておきますね」「はい、それでお願いします」。
それらをバックパックに詰め込んだ僕は「創業は何年ですか?」と尋ねると「190数年です。あと少しで200年です」とのこと。「全国に親玉饅頭ってありますけど関係はあるんですか?」「関係はないです。うちは長浜だけです」と女将さんは微笑みながら返してくれた。その理由は尋ねなかったけれどなぜか144分の1の戦艦大和の模型があった。僕はその横で休憩しながら速攻でググったら「江戸天保年間創業」「時の領主から『まんじゅうの親玉なり』との御言葉を賜った」「清浦奎吾首相も喜んだ」という3点を把握した。ところで清浦奎吾って誰なんでぃ?
自宅まで我慢できない。かと言って、混雑している列車内で食べる勇気もない。そんなこんなでJR長浜駅前にあるスーパーの2階のフードコートの片隅で「親玉饅頭」と「麩まんじゅう」を頬張った。うん、間違いなく「親玉饅頭」は焼いても揚げても翌日の朝に冷めた状態で食べても美味しいに違いない。夏季限定の「麩まんじゅう」はモチモチの皮がたまらなくいいゆえに春の「桜もち」も秋の「栗もち」も冬の「いちご大福」も味わってみたい。そんな大胆なひとり言を同じフロアにある店で買った地ビールの「淡海ピルスナー」を飲みながらつぶやいた僕がいた。
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