2年に1回のペースで知多半島を訪れたくなる僕がいる。その理由は自分でもよく分からない。自宅から最寄りのコンビニで買ってきた旬のスイーツを頬張りつつグーグルマップで知多半島を見ていたら「ん?本店だと?ってことは、発祥の店なのか?」と気になったスポットがあった。そんなこんなで【東海】を訪れた一昨日の僕は、その日の〆として侘び寂びを凌駕した佇まいの『坂角総本舖 本店』のガラス戸を秋が終わる頃の蚊の鳴くような声でつぶやきながら開けた。

狭い店内に一歩足を踏み入れるや否や手を前で組んだ見るからに品の良さそうな女性スタッフが「いらっしゃいませ」と一礼してマスク越しに微笑んだ。「あ、ここって本店ですか?」「はい」「発祥の店なんですか?」「はい、そうです」。彼女は静かにうなずいた。明治22年に創業した老舗企業の本社は同じ東海市の荒尾町にある。だが、発祥の店はここだ。ほら、ご覧。ガシッと腕を組むと仁王立ちで遠くを見据えている男が創業者である坂角次郎(ばん・かくじろう)だ。彼の姓と名を取って「坂角」となったことをお忘れなきよう。「板」じゃなくて「坂」なんだ。

店舗の外観や隅々まで清掃が行き届いている店内、凛とした立ち姿の女性スタッフは当然のこと商品まで上品に見える。僕は「では、定番のゆかりを3つください」と言った。正直、甘くないお菓子には興味が30年前のバドワイザー並みに薄いため歴史ある建築物としてここを訪れた。すると、僕の隣に寄ってきた女性スタッフが「坂角の万能海老せんカレー」や「坂角の海老せん茶漬け」などについてサラッと優しく丁寧に説明してくれた。そして案の定、それらも買った。

自宅に帰るや否や我が家の80%以上を占める女性群に「はい、お土産だよ」とこれ見よがしに差し出すと「は?これだけ?」と腑に落ちない感じで言うので「文句あるの?」と言い返したら「は?みんなこれが大好きって知らんかったの?ね?」と烈火の如く言い返されたので「いや、バレンタインのせいで在庫がこれだけしかなかったみたい。その代わりに海老せんのお茶漬けやトーストに合うカレーを買ってきたんだよ」とウソをつかざるを得なかった僕を許してほしい。

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