小田原の河野裕から一冊の本が届いた。この私に真正面からケンカを売っているとしか思えない。8月に裕の配偶シャーが岐阜に遊びに来るので濃厚なサービスをしてやるがね。数々の問題がある裕だが、彼とは波長が合うような気はする。君たちはハリウッド黄金期に活躍した名監督のウィリアム・ワイラーを知ってるかい。彼の代表作に『ベン・ハー』と『ローマの休日』がある。同じ監督なのに前者は大作で後者は小品だ。私は大作より小品が好きだ。大作は良いに決まっている。一方、小品は圧倒するシーンがない代わりに「セリフ回し」が秀逸で機知に富んでいる。私には『ベン・ハー』のようなスケールの大きいことを好む奴の頭の構造が分からない。例えば、孫正義社長の言っている意味は分かるが明らかに波長は合わない。私の場合、壮大なイメージよりも15センチ四方の生簀(いけす)の中にある言葉をつなぎ合わせて語りかけてもらったほうが心の扉は開きやすい。ここまで読んで理解できない奴とは間違いなく波長は合わない。