砂漠に水

...Drop by drop shifts the desert to oasis.

第0890滴:総務課長の恩返し

一昨日までに届いた年賀状の中でまだ送っていない人が8名ほどいたので、 真心を込めて書いてポストに入れた@さっき確認したら目が点の杉山です。

ちなみに、その中には3丁目の杉山裕史様宛ての年賀状が1通ありました。

ですから、まったく知らない新潟県の女性にオバQの年賀状を送りました。

さぁ、そんなできれば新潟県の女性も私を杉山裕史様と勘違いして欲しい ってハナシはバシッとやめて、今日もサラ~ッとお読みください。

■たった今、岐阜の空には雪が舞っております。

暖かい部屋の中から真っ白な空を見上げると、 飛騨高山にある小さな会社を思い出しました。

■きっと多くの方は岐阜のことを雪深い地域だとお思いでしょうが、

それは飛騨高山です。岐阜駅から名古屋駅までJRで18分です。 こんな私は雪が積もらなくても舞うだけで一切、外には出ません。

■その小さな会社には20名ほどの社員がいます。

2月にもなると1m以上の雪が積もる地域です。 当然、会社の前の雪を掻かなければなりません。

■最初に社長は当番制にしました。

毎朝8時に4人が雪を掻きます。 上手く続いたのは2週間でした。

■3週間目に入ったら都合が悪いから順番を明後日に変えて欲しいとか、

体調がすぐれないからしばらく雪掻きを休みたいとか言い始めました。 次第に雪掻きの苦しさばかりが浮き彫りになって当番制が崩れました。

■間違っても飛騨高山の雪は2週間では絶対に止まない。

そう言うと社長は怒ったように一人で雪を掻きました。 それを見た社員たちは黙って当番制で雪を掻きました。

■またどう言う訳か都合が悪くなった社員も、

体調がすぐれない社員も雪を掻いています。 でも、次第に社長の体調が悪くなりました。

■そして、社長は雪掻きができなくなりました。

案の定、社長が止めた時点で当番も来ません。 そのとき総務課長が朝の6時から始めました。

■50代後半のその課長は周りからの評価は決して高くはありません。

辺りがまだ真っ暗な早朝の6時から土日も続けて雪掻きをしました。 出社してきた社員たちはなぜ会社の前に雪がないのか不思議でした。

~ 長くなりますので引き続き編集後記でお話します ~

┃編┃集┃後┃記┃───────────────────

■社員が出社する9時前には雪がほとんどありません。

さすがにダメ社員たちも気味が悪くなり始めました。 ある日、若い社員が原因を調べることになりました。

■飛騨高山に大粒の雪が舞う早朝の7時半に若い社員は会社に来ました。

すると目の前にはプーマのダウンジャケット姿の総務課長がいました。 マフラーを巻いて長靴を履いて懐中電灯の灯りで雪を掻いていました。

■若い社員はなにも言わずに総務課長の横でスコップを持ちました。

そのまま2人は黙々と8時半まで膝まである雪を掻き続けました。 それはなにも取り柄がない自分を今まで雇ってくれた恩返しです。

■後日、総務課長はその若い社員に小さく漏らしました。

若い社員からそのお話を聴いた十数名の社員と社長は、 その翌日からみんなで膝まである雪を掻き始めました。

では、また明日、お会いできることを楽しみにしております。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━