砂漠に水

...Drop by drop shifts the desert to oasis.

第1326滴:あるタクシードライバーの営業日誌

自由書房で520円の雑誌を買うときに手持ちの小銭を減らそうと思って、 店員に百円玉を6枚ほど渡した@簡単な引き算もできない文系の杉山です。

ちなみに、6枚出しても8枚戻ってきたので革の小銭入れから溢れました。

ですから、5枚渡して「五十円玉にして」と言ったらムスッとされました。

さぁ、そんな仕方がないのでメモ帳を買ってやったら8円のお釣りだった ってハナシはバシッとやめて、今日もサラ~ッとお読みください。

■私が「桜の季節になりましたねぇ」と言うと、

彼は「あと何回見れますかね」と答えました。 それから、彼とは40分ほどお話をしました。

■終電に乗り遅れてしまった私は、

一宮駅でタクシーに乗りました。 彼は、50代後半の運転手です。

■「春になったら桜は見れますけど、あと何回見れるかが重要ですよ」と、

彼はしんみりと語りました。まるでテレビドラマの一場面のようでした。 「どうしてそう思うのですか?」と私が訊ねると彼は静かに答えました。

■どうやら彼は、ある大きな会社の社長だったようです。

事業に失敗してタクシーの運転手をやっているのです。 ベンツもゴルフ会員権も大きな邸宅も持っていました。

■しかし今は、すべてを失って夜の街を走るタクシーの運転手です。

首を吊ろうかとも思ったそうですが、春の桜が見たかったのです。 たった一週間しか咲かない桜を「また来年も」と思い続けました。

■だから今、こうしてハンドルを握っていられるのです。

私は「本当に?」と確認しましたが、本当らしいです。 春の桜を見るたびに生きる喜びが湧いてくるそうです。

■元社長の彼は「お客さんも社長ですか?」と小さく私に問い掛けました。

私は「いえ、ビジネスと愛をモチーフにした小説家です」と答えました。 彼が「作品はなんですか?」と訊ねたので「執筆中です」と逃げました。

■すると「参考になるかどうか分かりませんが」と前置きをして、

社長にふさわしくない5ヶ条を即席で作って教えてくれました。 それは、元社長ならではの世の中を見据えた面白いものでした。

~ ■が8個以上になりましたので、あとは編集後記に続きます ~

┃編┃集┃後┃記┃───────────────────

そして、元社長が即席で作った「社長にふさわしくない5ヶ条」です。

1.偉そうな口調で行き先を吐き捨てて言う人 2.必要以上に酔っ払っている人 3.会社の機密事項を平気で喋る人 4.新聞の経済欄をそのまま語る人 5.すべて小銭で運賃を支払おうとする人

以上です。私も必要以上に酔っ払っていたので明確に覚えていません。

でも、とってもいいお話でした。春の桜が待ち遠しいですね。 まぁ、人ごみが大嫌いなので花見など一切、行きませんけど。

では、明日は、タクシードライバーのから聴いたもっといいお話です。

本当は途中で降りて迎えに来させようと思ったのですが、 モーレツに面白かったので自宅まで乗ってしまいました。

財布の中が心配でしたが、なんとか足りてよかったです。

では、また明日、お会いできることを楽しみにしております。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━