人ごみが大嫌いなので、世間で言うところのゴールデンウィークにはどこへも 行く予定はない。そこで、人が少ない今のうちに城郭巡りを愉しもうと思った。
初めて降りたJR掛川駅。木造の駅舎が風情をかもし出して偏差値58だった。
城下町のような趣のある商店街を真っ直ぐに歩くと目の前に掛川城が見えた。
重厚な四足門。人気(ひとけ)がなかったので立派な柱を執拗に撫で回した。
瑞瑞しい緑とピンクの間からは、高台にある天守が老眼の目に眩しく映った。
天空の城に続くかのような石の段を城下の景色を眺めながら1つずつ登った。
さすが平日の真っ昼間ということもあり、人の気配も僅かでとても満足だった。
と思いきや、額にポツリと水滴が。快晴だったはずの青空が急に曇り始めた。
「曇天に聳える天守もまた風情」と芭蕉並みに一句ひねりながら駆け込んだ。
城内を撮影している最中に轟音を立てながら強風が吹き荒れ正直、びびった。
天守から確認した西の空は快晴だったので「理不尽な通り雨」と結論付けた。
現存する数少ない城郭御殿の掛川城御殿を天守とツーショットで撮影した。
御殿の中を回ったが、本気のかくれんぼができるほど広い畳敷きに感動した。
掛川城を後にし、すぐ近くの城の餅本舗でよそにはない名物の饅頭を食べた。
「そんな遠い所から来たの!?」と店員に驚かれたが、同じ中部地方だろう。
鈍行でJR浜松駅に着いた。案の定、気持ちが悪いほど徹底的に快晴だった。
そこから浜松城までは余裕で歩くことができる距離だったので当然、歩いた。
400年前の築城時をそのままに野面積みが美しい石垣に大変興味を持った。
初夏のような日差しの中、その美しい石垣に沿って天守の入り口へと歩いた。
桜の天守もいいが、新緑のそれもまたいい。次には紅葉と白雪も見てみたい。
紫外線ショットを撮影しようと顔を上げたら飛行機が飛んでいたので激写した。
ちょっと小金が貯まった成金趣味の住宅のような鉄筋コンクリート造りだった。
天守曲輪に設置してあった石のベンチに座り、周辺を飽きるまで眺めていた。
十分に堪能した浜松城を後にし、市役所前を歩いていたら鎧掛松に遭遇した。
大して疲れもしなかったが、せっかくなので遠州鉄道に乗ってみようと思った。
遠州病院駅から新浜松駅までの2区間・2分間で100円。何気に嬉しかった。
その遠鉄の高架下に整然と並ぶべんがら横丁で遅いランチを取ることにした。
浜松だというのに誘われるまま、なぜか博多ラーメンの店に入ってしまった。
あっさり系とんこつラーメン。空腹だったのできっと何を食べても美味しかった。
掛川城は「日本100名城」の中の42番。快晴の日に再び訪れたいと思った。