山間の田舎の朝はムダに早い。早朝5時から大浴場に入ることができるため4時55分に男湯の扉を開けた僕だった。すると、すでに多くの年寄りがカピバラのように首までどっぷりと浸かっていた。クアハウスとケアハウスはすっげぇ似ているが、その意味合いはまったく異なる。「ハハハ、ここはケアハウスかよ!」とお疲れ気味のツッコミが漏れちまった。ま、それも賛否両論だと思いますよ。
ふと思ったのだが、なんでこんな暑い時季に温泉に来てしまったのだろうか。ただでさえ今日は軽く30℃を超える猛暑日だった。足湯に浸かることすら罰ゲームだろう。仕方がないので涼しい屋内を探し求めて『下呂発 温泉博物館』にたどり着いた。他にすることもなかったので足裏を刺激する大量の玉砂利が敷いてある歩行湯を試みた。同じところを延々と素足で歩く集団の後ろ姿は、許可が下りて間もない新興宗教の新たな修行のようにも見えた。ただ、湯から上がると確実に血行が改善された気がした。
「もう帰ろうよ」。全員の心の声がそう叫んでいた。ってことで、下呂では昼食を取らずに帰り道の途中にある『七宗御殿』内のレストランで各自が軽く食事を済ませた。この僕は「山菜茶そば」とキリンの瓶ビールだった。では、そろそろこの2日間の〆に入ろう。下呂温泉は秋から冬にかけて楽しもう。