砂漠に水

...Drop by drop shifts the desert to oasis.

青虫たちのブルース

昔、知り合いの弁護士が「地位も財産も家族も何もない人間が一番強いんだよ。日本には奴隷制度がないから裁判に勝っても取れるものがなければそれで終わり。そうかと言って、そんな青虫のような人間を叩きのめして握り潰そうとしちゃいかん。自分の手に青い汁が付くだけだから放っておくのが一番だ」と言った。サザエさん症候群のくせにステキなことを言う弁護士だった。昨日、我が家にも最強の人間から電話があった。「カワイさんいる?」「あ、ここはUCCじゃないですよ」「はぁ?違うの?」「違うの」「だって、自販機の後ろにあんたんとこの電話番号が貼ってあるじゃないの!なんとかしなさいよ」「・・・(ったく、知らんがな)」。その昔、UCCが使っていた電話番号を引き継いだために退屈はしない。このように間違えてかかってきたことは余裕で30回以上はある。しかしながら、逆ギレされるのも珍しい。お!これは新種の青虫だよね。発見してしまったからには大切に育てなければならない義務がある。そこで「もしよろしければその自販機の前で缶コーヒーを飲みながらお話ししませんか?」と誘ったら「はぁ?」と呆れた感じできょうびはガチャンではなくプチッと電話を切られた。チェッ!滅多にお目に掛かれない青虫だったのに・・・。こっちに多少の非があれば話は別だが、1ミリの非もないのに逆ギレしまくるような青虫は、遊べるだけ遊んでからギフチョウの発見で知られる岐阜公園内の名和昆虫博物館で串刺しの標本にしてもらおう。たしかに桜は美しいが、青虫が落ちて来る桜の樹の下で宴会をする者たちの神経がこの僕には理解できない。

桜