砂漠に水

...Drop by drop shifts the desert to oasis.

俺たちに明日はないかどうかは知らないが、間違いなく君たちに可能性はない

それなりに残っている髪は白と黒のまだらだが白のほうが圧倒的に多い。瞳は黒褐色だが白内障だ。身長は着実に痴人でいや、縮んで170センチ。体重はピーク時から30キロほど減った56キロ。血圧は上が114で下が58。そう、血の気は多いが血圧は低い。名は杉山弘道。職業は岐阜市民。はい、レイモンド・チャンドラー風に昨日の健康診断で分かっている項目だけを記述した杉山です。あ、腹囲は69センチだった。問診の際に「何か気になることはありませんか?」と尋ねられたので「大好物の食べ物を口にすると急性の食中毒のように当たることが増えて食べられなくなりました」「はい、そうですか」「・・・(ん?)」。答えがない質問なら最初から聞くなっちゅう話やがな。そうだ、僕より小さい富樫勇樹選手がバスケットボールで日本人初の1億円プレーヤーとなったね。身長は167センチ。そこらの岐阜市民でも知れているのに、これが2メートル級の巨人が日曜日の名古屋駅構内にある金の時計の周りに群がる若者たちのようにウジャウジャいるバスケットボールの世界だからいかに前代未聞の偉業かがよく分かる。これを全然興味のないプロ野球界に置き換えると年俸13億7千万円以上じゃないだろうか。全然興味がないから何の根拠も自信も確証もないけど。だから、167センチの君、間違っても「僕にも可能性はあるんだ」と勘違いしたら人生の遠回りをするだけだから気を付けな。そんなことより我が家の玄関先で羽化したアゲハチョウが心配なんだ。生まれながらに右の羽がおかしくて飛べず、我が家のローズマリーの中に3日間もずっといるんだ。アゲハチョウの寿命はせいぜい2週間。その間は僕が世話をする。だから僕は、そーいう男なんだ。

アゲハチョウ