バローで買ってきたおはぎを熱い珈琲で楽しみながら「あの頃は本当によかった」と窓から西の空を眺めるのはいいけれど「あの頃ってどの頃だ?」と疑問に思って途方に暮れたことはありませんか?今日の僕がそうでした。しかし、あまりにしょぼい小っちぇおはぎで「しょぼはぎ」と呼んでいた。ふ、笑っちまうくらいしょぼくてスマホがビンボー臭いから嫌だと拒んでピントがボケちまったぜ。しょぼはぎを食べた後に口直しのアーモンドチョコレートを頬張りながらサラリーマン時代の僕は、見込み客に対して「何でもできます」と言っていたことを思い出した。ほら、営業だから「ちょっと無理です」とは言えないし、契約を取ったら取ったでそこから先は専門部署の者たちに任せておけばいいだけじゃん。ま、それも賛否両論だと思いますよ。「現状の不満をすべて僕に言ってください。うちの会社はそれらをすべてクリアします」と。ハハハ、そりゃどれだけでも取れますわな。そして独立してすぐにそれをやったら自分で自分の首をキュッと絞めることにハッと気が付いた僕だった。本気でまいったぜ。仕事ってさ、口先だけでやれるもんじゃなかったのね。その後はすべてにおいて「何もできません。それでもよろしければどうぞ」というスタンスで生きている僕。だって、本当に何もできないんだもん僕。もう取り柄と言ったら見た目と口先と手先だけだし。そんなことを窓から西の空を見上げながら一人きりつぶやいていた。この世の中、安請け合いほど高くつくものはない。