砂漠に水

...Drop by drop shifts the desert to oasis.

第0866滴:玄関に見る風景

小6の娘が「ノロウイルスってのろいの?」と訊ねて来たので「うん」と 私が返すと「ステゴザウルスより?」とさらに訊ねた@ググッた杉山です。

ちなみに、一昨日まで知らなかったけどノロウイルスって細菌だったのね。

ですから、小6の娘もそのパパもなんちゃらサウルスって思っていました。

さぁ、そんなテレビも新聞の三面記事も興味ないのでとっても健康な親子 ってハナシはバシッとやめて、今日もサラ~ッとお読みください。

■チャコールグレイのスーツにア・テストーニの洒落たネクタイ。

胸元に確認できるのは鍛えられた上半身を包む真っ白なシャツ。 まるでカミソリの刃のような鋭い折り目がズボンを躍動させる。

■それが私の数年前までのサラリーマン時代の立ち姿でした。

今では5ヶ月前から伸ばしっ放しのくせ毛の髪に汚い髭面。 明日も着ようかどうかと悩む赤いジャージに身を包みます。

■数日前に一人の小さな会社の社長と約4年半ぶりにお会いしました。

胸に“ALABAMA”と書かれた赤いトレーナーを着た私を見て、 社長は心配そうに「大変なの?」と声を低く落として握手しました。

■サラリーマン時代のそれとはまったく違う姿に驚いていました。

私は「筋肉が落ちて腰痛が激しくなりました」と真顔で言うと、 社長はサラリーマン時代の私を思い出すように語り始めました。

■それは靴のお話です。私はプレーントゥでもストレートチップでも、

基本的には紐靴しか履きません。そのことを社長は知っていました。 しかし、その社長の会社に伺うときには紐靴ではありませんでした。

■会社の玄関で靴を履き替えなければならなかったからです。だから、

私は毎朝自宅を出るときには今日の予定を頭の中に思い浮かべると、 その訪問先は靴を脱いで上がる会社なのかどうかを少し考えました。

■会社に上がるときは別に構わないんですが、

問題はプレゼンが済んで帰るときなんです。 靴を履く私の背中に社長の視線を感じます。

■それまで円滑に進んでいたプレゼンに休符が付いてしまう気がします。

腰を下ろして紐を結ぶ時間に30秒も掛かったらすべてが御破算です。 お客さんにいい印象を与える最後の詰めは玄関から立ち去る後姿です。

┃編┃集┃後┃記┃───────────────────

本当に細かいことなんですけど本当に気になるんです。

私は初めての会社に伺うときは絶対にローファーです。 ビジネスシーンにローファーは確実に似合いませんが、

万が一、その会社がスリッパに履き替える会社ならば、 プレゼン中に紐を結ぶことで頭の中が一杯になります。

そして、岐阜にある小さな会社では、 万が一どころか十に三も該当します。

そう、多くの会社が夏はビニール、 冬は厚い生地のスリッパなんです。

一人で玄関から帰らせてくれる小さな会社ならOKですが、 みんな親切に最後まで見送ってくれる会社ばっかなんです。

お話を途切らせないように俯いて紐を結びながら会話を続けていると、 やっと紐を結び終えてふと振り返った自分の笑顔がうっ血しています。

真っ赤なんです。

それにもうすでに何回も伺っている会社だったら、 いい加減に紐靴なんてやめろよなとも思われます。

お客さんは必死にもがく背中を30秒も見たくはありません。 相手の環境にできるだけ配慮することがナイスなセンスです。

では、また明日、お会いできることを楽しみにしております。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━