砂漠に水

...Drop by drop shifts the desert to oasis.

第1200滴:社長の置手紙

長女が私の部屋に入って来るなり黙って隣に座った。約5分が経過すると、 慌てて部屋を出て行った@今年に入って最も許せない屈辱だった杉山です。

ちなみに、リビングで3人のAB型がトランプの7並べをやっていました。

ですから、負けた人がパパの部屋で加齢臭に耐えるという罰ゲームでした。

さぁ、そんなだれのために365日もぶっ続けで働いていると思ってんだ ってハナシはバシッとやめて、今日もサラ~ッとお読みください。

これはノンフィクションで悲しいことに実際にあった出来事です。 ただ、起きた日時や事件の詳細については若干、脚色しています。

■その会社は、社長を含めて3人の小さな会社でした。

愛知県の端っこで自動車の塗装業を営んでいました。 50代前半の社長は厳格で昔ながらの頑固者でした。

■大きく稼ぐことはできないものの、

対前年の売上げは伸びていました。 ある日、社長は2人を呼びました。

■すると「3ヶ月後には会社を閉じる」と言いました。

2人の社員は、突然なことにただ驚くばかりでした。 2人が理由を訊ねても社長は口を開こうとしません。

■仕方がないので、2人はただ従うしかありませんでした。

その日から社長は2人の新しい勤め先を探し続けました。 とりあえず今と同じくらいの給料を出してくれる会社を

■2ヶ月ほど掛かってなんとか探し出すことができました。

でも、その必死さと言ったら本当に鬼気迫るものでした。 後に2人は「怖くて近寄れなかった」と振り返りました。

■その日から1ヶ月が経過しました。社長は、

「すまんが頑張ってくれ」と頭を下げると、 笑いながら2人と硬い握手を交わしました。

■握手から3ヶ月が過ぎると2人に訃報が入りました。

厳格で昔ながらの頑固者の社長が亡くなったんです。 どうやら社長は、自らの余命を知っていたようです。

■粛々と四十九日が過ぎたときです。社長の奥さんが、

「渡したいものがある」と言って2人を呼びました。 2人の前に出されたものは、1通の薄い封書でした。

~ 案の定、ちょっと長くなりましたので編集後記に続きます ~

┃編┃集┃後┃記┃───────────────────

■社長の置手紙(ほぼ原文)

どうやらもうあかんかったようです。 君たちがこれを読むときは私はいません。

会社が順調だけに残念でした。

でも、やりたいことは大体やったように思います。 会社を残すことも考えたけど、 経営するのは大変やからね。

君たちのおかげで楽しく働くことができました。 ただただ感謝です。

○○○○様へ

20年近くもよくついてきてくれました。 私はがんこもんで難しかったと思うけど、 よく一緒にやってくれたと感謝しています。

○○は私の古い友人だから、 いいようにしてくれると思います。

家族を大切に一生懸命にがんばって下さい。

○○○○様へ

新車を買ったばかりなのにすまなかった。 どうせ○○のことだからローンで買ったと思います。

なんとか退職金がたしになってくれればいいですが。 ○○の嫁さんを探そうと思ったけど、 ちょっと間に合わんかったようです。

いい嫁さん見つけて温かい家庭をきずいて下さい。

二人ともあんまり無理せんとゆっくり長生きして下さい。

本当にありがとう。

では、また明日、お会いできることを楽しみにしております。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━