銀行実務の相続を勉強していた次女が「パパ、舞子っていくらぐらい相続できるの？」と真顔で尋ねてきた。「うん、お金なら腐るほどあるけど全部、使い切って死んでいくんだ」「高須クリニックの院長みたいだね」「そうそう、０の数は５つくらい違うけどね。ハハハぁぁぁ・・・」「大丈夫だよ、全然期待してないから」「まぁ、聞きなさい。苦労もせずに最初からあるものはインチキだよ。それどころか、それに手をつけたらシャブ中のように後戻りできない体になるんだ」「やったことあるの？」「ない」「だよね」「もっと怖いのはね、インチキのお金を使い切ったら以前みたいに働こうとはせず、どうすればまたお金がもらえるか？しか考えないことさ。それって保険金殺人を繰り返す犯人と同じだよね」「なんとなく分かるぅ」「なまじっか分不相応な大金を手にすると人生を棒に振ることになるから逆に高くつくんだ」「よくできた世の中だね」「地位も名誉も財産も人間関係も±０にしてから死んでいくのが一番カッコいいんだよ」。
