砂漠に水

...Drop by drop shifts the desert to oasis.

創業200年を超える伝統の味を頬張るたけやまんじゅう

呼吸するのを忘れるくらい荘厳で雅な国宝と清らかな重要文化財がてんこ盛りの三重県は津市の一身田(いしんでん)にある専修寺(せんじゅじ)を隅から隅まで満喫しまくった昨日の僕は、当初の計画どおり『たけや』を厳かな気持ちで訪れた。いや、もうこれは主たる目的と言っても過言ではなかろう。ちなみに、ちゃんと呼吸はし続けた。ま、そりゃそうだ。おいおい、風情のある狭い街道を東へ進むと建物の壁面に描かれた「たけやまんじゅう」の緑色の文字があった。僕は泣きそうになった。そして、正面から対峙した。悠久の歴史を感じさせる看板、白い電球、ガラスの欄間、ガラスの引き戸などが僕の琴線を後ろから前から刺激しまくった。僕は泣いた。

たけや

店内に一歩足を踏み入れると想像どおりのステキな空間が広がった。まずはショーケースに目をやった。お目当ての名物の「たけやまんじゅう」はつぶあんバージョンとこしあんバージョンの2種類があった。「意外に大きいんですね」と僕。「はい、昔からこのサイズですよ」と奥さん。「こしあんのほうが少ないですが、つぶあんより人気ですか?」「いえいえ、つぶあんのほうがよく売れますよ」「(ほほう、安い世間なのにそのチョイスは正解だね)では、つぶあんのたけやまんじゅうを5個とよもぎ餅を2個ください♪」「はい、ありがとうございます」。僕は泣いた。

たけやのショーケース

ショーケースに向かって右側には古き良き時代の重厚な調度品たちが整然と並んでいた。そこに立てかけられている板には「まちかど資料館」と描かれていた。よく見るとビクターのラジオや昭和30年代頃の計算機や『のらくろ漫画全集』などがあった。そのレトロっぷりがたまらなくいい。何より気になったのは、ショーケースの上にある黒電話は今でも使用できるのだろうか?

まちかど資料館

「創業は何年ですか?」「う~ん、200年は超えていますよ。うちの主人で七代目です」「に、200年以上で七代目ですか!」「一身田では100年以上は普通ですよ。うちは2番目くらいです」。恐るべし一身田。それはそうと正面の壁に掛けてある時計を見て一瞬、焦った僕だが、よく見ると「時計は止まっています」と書いてあったのでホッと安堵したと同時に僕は笑った。

たけや

2時間ほど列車にいい感じに揺られながら途中、寝落ちて記憶がない状態でも帰巣本能に従って無事に帰宅した僕は、ヘトヘトに疲弊した体にエネルギーを補給すべく「たけやまんじゅう」を頬張った。いい。すっごくいい。ねっとりした粒あんではなく、ほろほろと崩れるような優しい糖分の粒あんだった。焼いたらさらに芳醇な甘味を楽しめるようなそんな気がした僕は焼いた。

たけやまんじゅう

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