砂漠に水

...Drop by drop shifts the desert to oasis.

第0767滴:ブロッコリーの花

あまり仲が良くない知り合いと最も字画数の多い四文字熟語を書き合った @そいつは麻婆豆腐と青椒肉絲をサラッと書いたので少し焦った杉山です。

ちなみに、そいつは中華料理屋の息子なので難しい専門用語が書けました。

ですから、本当に仲が良くないので黙々と文字を書いて時間を潰しました。

さぁ、そんな偶然に名古屋駅の時計台の下で人を待っていたら目が合った ってハナシはバシッとやめて、今日もサラ~ッとお読みください。

■私は鉛筆で魑魅魍魎と紙に書きました。どうやら私の勝ちのようです。

万が一のときのために憂鬱とこれだけは覚えておいて本当によかった。 私はふと顔を上げると時計台の針を追って午後の1時を確認しました。

■そのとき西の方から一人の板前のような男が現れました。

伊藤貴俊。35歳。今回の【砂金の人々】の取材先です。 そして、彼は私を助手席に乗せると自宅へと走りました。

■なにもない。まったくなにもない部屋に私は入りました。

すると彼は押入れから刃渡り80cm程の剣を出しました。 それを振り回しながら「ポーズ取りましょうか?」と彼。

■私はニコンのデジカメに心で詫びながらシャッターを押しました。

続けて彼は「野菜ソムリエの格好もします」と笑顔で言いました。 そう、彼は野菜と果物をこよなく愛す普通のサラリーマンでした。

■単なる好奇心で農家に遊びに行ったサラリーマンの彼は、

そこで今までに経験したことのない世界に遭遇しました。 農家の親父から数々の未知なる知識と知恵を学びました。

■彼は台所で桃の皮を剥きながら「ブロッコリーに花が咲くんですよ」と、

背中で話しました。私はブロッコリーとカリフラワーの違いが分からん。 彼は「無知な主婦が多くて花を咲かせちゃうんですよね」と続けました。

■ブロッコリーは温度差に敏感なので夏に冷蔵庫の開閉を頻繁にしたら、

いくら冷蔵庫だと言っても3日も持たないと彼は言いました。そして、 ブロッコリーは生きていますよ。野菜も果物もみんな生きていますよ。

■それを身勝手な人間が忘れているだけなんですよ。

彼は包丁を握り締めて憤りながらそう語りました。 私は怖くて冗談なんてまったく言えませんでした。

■すると「みんな上辺しか見ちゃいません」彼は一人で桃を食いながら、

「曲がったキュウリや凸凹があるトマトは野菜として認められません」 続けて「人間が作った基準に合わないと価値は0です」と言いました。

■だから、モノを単なるモノとして見たり扱っていては必ず失敗します。

野菜や果物でもその先にある農家の熱い想いをみんなは忘れています。 決して上辺にとらわれない本質を大切にしたいと彼は熱く語りました。

┃編┃集┃後┃記┃───────────────────

最後までブロッコリーとカリフラワーの違いが分かりませんでした。 とてもそんなことを訊ける雰囲気ではなかったので家に帰ってから、

グーグルで検索をしました。初めて野菜をググッたような気がする。

しかし、今回の取材では、自分の浅い先入観の怖さとか、 それを作っている人の想いと言うものを強く感じました。

そう、たった今、自分が身につけているもので、 人の手を介していないものは一つもありません。

スーツでも鉛筆でもパソコンでも赤い口紅でも、 みんなどこかのだれかが作ってくれたものです。

それを単なるモノとして見たり扱っているようでは、 本当に底の薄っぺらな浅い人間になってしまいます。

たしかにこんな私は食べ物の好き嫌いが激しいですが、 てんぷらにすればどんな野菜でも食えるタフな男です。

要は、素材ではなく加工方法の問題だ、ってことです。

そう、ブロッコリーも曲がったキュウリも凸凹があるトマトも、 みんなそれぞれになにものにも換え難い存在価値があるんです。

今回は【砂金の人々】の取材風景を交えながらお話をしました。 今後もそのときの雰囲気を熱く醸し出しながらお届けをします。

では、また明日、お会いできることを楽しみにしております。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━