砂漠に水

...Drop by drop shifts the desert to oasis.

第0898滴:見上げる景色と見下ろす眺め

今朝の日経新聞に掲載された【年賀状お年玉くじ】の当選番号を確認して、 大人気なく真剣に一喜一憂した@切手シートが4枚だけ当たった杉山です。

ちなみに、私に届いたものでは横須賀市の菅野久子さんの一枚だけでした。

ですから、平成19年に限って横須賀市の菅野久子さんを特別扱いします。

さぁ、そんな私が送った年賀状の中で2等以上があれば報告だけしてくれ ってハナシはバシッとやめて、今日もサラ~ッとお読みください。

■私が最初に就職した大きな会社での懐かしい研修を思い出しました。

それは屋根の上でお湯を沸かす太陽熱温水器を取り付ける研修です。 勤めた会社はメーカーだったので取り付けるのは小さな特約店です。

■静岡県は榛原市の住宅街を特約店の社長と回りました。

しかし、社長といっても屋根に上るのもその社長です。 研修生は絶対に屋根に上るなと本社から言われました。

■私は脚立に上って部屋の電球を替えられなくらいの高所恐怖症です。

だから、会社の命令でも現金をもらっても屋根の上など上りません。 しかし、その当時の私はまだ初々しくて言われたことに従順でした。

■50代半ばの社長は「内緒で上ってみるか?」と言いました。

私は心の中で「勘弁してくれよな」とふて腐れて呟きました。 するとその社長は私の心の内を察したのか笑って続けました。

■「下から見上げる景色と上から見下ろす眺めはまったく違うぞ」と、

な~んか意味あり気な含んだ言葉をハシゴの上から投げ掛けました。 「では、ちょっとだけよ」と自分でも考えられない行動に出ました。

■私はある民家の2階の切妻屋根に上りました。

きっと屋根に上るのはこれが最初で最後です。 傾斜角度が5度の切妻屋根は激しく怖いです。

■そのとき私の頭の中では万が一の場合に備えて、

柔道の受身のシミュレーションをしていました。 それはニャンコ先生のキャット空中三回転です。

■50代半ばの社長は「メーカーさんは商品の性能だけは重視するけど、

屋根の気持ちが分かっていない」と怯える私に横顔でそう言いました。 下からしか見上げない奴に上からの発想はできないと私は思いました。

┃編┃集┃後┃記┃───────────────────

メーカーも屋根の材質の研究はしていました。工場の中では、 太陽熱温水器を乗せても耐えられる強度は計測していました。

しかし、それは机の上の計算であって、 屋根の上で確かめた訳ではありません。

下から見上げるだけでもいいとは思うんですが、 上から偉そうに言うんですよね。メーカーって。

私が本当に失神しそうなほど嫌だったけど屋根に上ったのは、 若い研修生が偉そうに下で座っている訳にはいかんからです。

いくらメーカーと特約店の関係でも、 こっちはなにも知らない研修生です。

50代半ばの人生の先輩が汗を掻いているのに、 中途半端な若者が涼しい顔などしておれません。

でも、顔面が蒼白になって足がすくんだ私を見た社長は、 それからは一切、屋根の上には誘ってくれませんでした。

では、また明日、お会いできることを楽しみにしております。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━