砂漠に水

...Drop by drop shifts the desert to oasis.

第1132滴:あるトップセールスマンの孤独

下の娘が「パパってあっち系?」と訊ねたので「うん、そっち系かな」と、 答えたら「やっぱそれ系なんだ」と呟いた@さっぱり分からない父親です。

ちなみに、私が中学時代に食った給食の献立について語っていたときです。

ですから、きっと娘は「パン系」か「ご飯系」かを知りたかっただけです。

さぁ、そんな「小椋佳」とか「真里邑ケイ」とか試しに言ったら流された ってハナシはバシッとやめて、今日もサラ~ッとお読みください。

■その男は41歳で、トップセールスマンでした。

社長は、彼を溺愛しまくりました。数年後には、 自分の跡を継いで社長になれと言ったほどです。

■その会社には100人を超える社員がいました。

彼は、その会社の専務取締役&営業部長でした。 営業部の部下は、約40名いました。その中に、

■いつもノルマが達成できない若い社員がいました。

社長は、その若い社員が嫌いで嫌いでなりません。 ある日、朝礼で「数字を達成しない奴はクビだ!」

■と、営業部の全員に向かって9月のノルマを掲げました。

それは、ほとんどの社員がクリアーできる数字でしたが、 たった1人その若い社員にとっては厳しいノルマでした。

■明らかにたった1人をおとしめようとした数字です。

トップセールスマンの彼は、社長に詰め寄りました。 彼の言うことだったらなんでも聞き入れる社長でも、

■今回の発言だけは一切、撤回しませんでした。

彼は「私の大切な部下です」と言いましたが、 社長は、まったく聞く耳を持ちませんでした。

■10月1日。トップセールスマンの彼は、社長室に呼ばれました。

彼は「たった1人だけ9月の数字を達成できなかった者がいます。 いかがいたしましょうか」と社長に報告しました。すると社長は、

■「まぁ、残念だけど公約なのでクビだな」と横顔で言いました。

「分かりました」と彼は白い封筒を社長の前に差し出しました。 「ん、なんだ?」と怪訝そうに社長が言うと「辞表です」と彼。

■数字をクリアーできなかったたった1人とは彼でした。

彼は、可愛い部下である若い社員に付きっ切りでした。 そう、その若い社員の数字を絶対に達成させるために。

■泣きそうな顔の社長は「ちょっと待ってくれよ」と言いましたが、

ダンヒルのスーツを纏った彼は「お世話になりました」と言うと、 社長室から背中で去りました。そして、二度と戻りませんでした。

┃編┃集┃後┃記┃───────────────────

今、トップセールスマンの彼とその若い男性は、 一緒に会社を興して元気にやっているそうです。

いくら自分が激しいくらい愛されたところで、 可愛い部下が足蹴にされれば空しいものです。

それを社長に身をもって分かってもらいたいとの思いで、 彼は、年収の2千万円を捨て自分の身を犠牲にしました。

辞表を出してから何十回と引き留められましたが、 彼は、頑として訊きませんでした。それどころか、

会社には二度と現れませんでした。 引継ぎを数人の社員に任せました。

今までお世話になった社長を思ってこその行いなのです。 自分だけ愛されればいいと思っている上司などいません。

あるトップセールスマンの孤独は、どこにでもあります。

では、また明日、お会いできることを楽しみにしております。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━