全国的にも荒れる空模様になるとNHKの気象予報士が断言した。そのため早朝6時45分にホテルをチェックアウトし、目的地の高松城へと歩を進めた。丸亀町商店街を駅に向かって歩いていたら目の前に巨大なドームが現れた。
ことでんと旧東の丸艮櫓のうれしいツーショット。このとき午前6時58分だった。
東門の開園は午前7時だったので、受付の女性が来るのを2分近くも待った。
現存する月見櫓への道。早朝で気分はいいし、人はいないし、天気はいいし。
見たところ天守台の補修工事を中堅ゼネコンのハザマが行っているようだが、この際、立派な模擬天守も復元してほしい。そうなった暁には再び訪れたい。
高松城は「日本100名城」の中の77番。受付の女性からポスターをもらった。
塩分を含んだ弱い風が僕の嗅覚を強く刺激した。海を背にして呼吸を止めた。
高松駅で停車しているサンライズ瀬戸と遭遇した。いつか必ず乗ってみたい。
僕はと言えば、鈍行で丸亀駅にたどり着いた。サンライズ瀬戸に乗ってみたい。
駅から歩くこと約8分。高台にそびえ立つ丸亀城が嗚咽するほどカッコよかった。
夏休み子ども劇場の『黄金バット』が登場するかの如く、威風堂々としていた。
重要文化財の大手一の門をくぐった。それは別世界への入り口のようだった。
梁。その色といい、その太さといい、冷蔵庫に寝かせてある栗蒸羊羹の如し。
どこからどの順番で見ればいいのだろうと心地良い途方の暮れ方を楽しんだ。
適度な湿気と頬を撫でる緩い風が僕を詩人に変えてくれそうで変えなかった。
石垣の美。20m以上の城壁が続く、「扇の勾配」のような美しい曲線だった。
汗を噴き出しながら登った。必ず振り返ることから「見返り坂」と呼ばれている。
天守とセミの声。まだ汗は止まらない。次に訪れる際には、夏だけは避けたい。
天守の2階から3階へと登る階段。黒光りの柱や階段に触れるだけで泣けた。泣かんかったけど。
天守の3階から眺めた丸亀市内。今日も7時間以上かけて鈍行で帰るのか。
「日本100名城」の中の78番。また、12しかない「現存天守」の貴重な1つ。
名残惜しいが丸亀駅へと向かった。そしてアーケード街には誰もいなかった。
「丸亀ってうちわが名産なのか?」と小さく声を漏らしてみても誰もいなかった。
人恋しくなり、近くの喫茶店に入った。熱いおしぼりで顔と腕を拭ってしまった。