僕の半世紀を振り返ると下着泥棒に間違われたことはあったが、叱られた経験は限りなく少ない。中学2年の英語の授業中に手を挙げて答えたら「杉山、俺を叱るな」と先生に笑われた。フツーに「be動詞です」と答えただけなのに。そのとき僕は叱られない体質だと悟った。以来、それを上手に利用しようと磨きをかけた。そのためには「効率良く嫌われることが大事」と結論付けた。「嫌われない=好かれている」と思っている奴が多いが、嫌われないということは箸にも棒にも掛からないということで「居ても居なくても同じ」ということだ。むしろ10回中3回くらい些細な粗相をわざと犯して嫌悪感の免疫を散らすべきだ。すると、誰かと同じ失敗を犯しても僕だけ無罪放免ということが多々あった。朝日大学の前ですっげぇ大きな自動車事故を起こしたとき、僕の過失が9割だったのに、立ち会った3人の警官は相手方に「ちょっとこっち来なさい!」と叫んでいた。僕は初対面の公務員にさえも許されやすい体質に進化していた。そして今日は、昼も夜もたこ焼きだった。