砂漠に水

...Drop by drop shifts the desert to oasis.

助けてあげたらセミに体液を吸われそうになった悲惨な僕

「ジージー・・・」という弱々しい鳴き声がベランダから聞こえてきたので「僕はジイジだよ」とつぶやきながら身を乗り出して見たら1匹のアブラゼミがひっくり返っていた。明らかに死期が近づいたアブラゼミが、今生の別れを告げているかのようだった。どう見えるか知らないが、こう見えても熱帯魚と昆虫と三重県民にだけは優しいこの僕は、手を差し伸べていや、指を差し出して「もう一度、大空に飛んでみろ!」とエールを送りながらも「それはそうとちゃんと交尾はできたのか?」とジジイなのに老婆心ながらそっと尋ねてみた。するとあーた、あろうことか樹液ではなく僕の体液を吸おうと注射針のような口吻(こうふん)を僕の左手の人差し指に突き刺した。セミ、あなたって恩知らずの節足動物は・・・。これではセミの恩返しどころか仕返しだがね。あのピーターはクモに刺されてスパイダーマンになった。とすると、僕はセミに刺されたからシケイダマンだ。そう、セミは英語で「cicada」と言う。だから、僕の武器は「死刑だ!死刑だ!死刑だ!」と憎い相手に向かって連呼する処刑ビームだろう。ふ、僕は『がきデカ』のこまわり君かよ。それにしてもセミのように飛べる能力が備わったなら何気にうれしいのだが、寿命が一週間になったらどうしょうしゃん。まあいい。いや、ちっともいいことない。刺された人差し指を全力で振り払ったらセミは西の空へと飛んで行った。何だよ、飛べるじゃねぇかよ。

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