「うん、やっぱ本場で食べるとさすがに美味しいね」と大胆なひとり言をつぶやきながら熱々の明石焼きをリズミカルにお口の中へ放り込んでいた4日前の僕は、その8分くらい前に計画的に『藤江屋分大 本店』の前を通りかかると全容を写真に収めた。魚の棚商店街の近くの西国街道沿いの一角にあるのだが、その重厚かつ趣ある佇まいは僕に何かを語り掛けているようだった。しかし、言語が不明だったので意味は理解できなかった。そして、店内に入ることはなかった。
その翌日に『藤江屋分大 ピオレ明石店』を訪れた。時代は江戸、今から200年余り前となる文正元年創業の老舗の和菓子屋らしく丁稚羊羹などが全国的に有名とのこと。さすがに駅ビルの一角では老舗感はあまり伝わってこなかったものの、そこらの安っぽいスイーツ店とは比べ物にならないような落ち着きがあった。そんな気がした。いつの日か本店も訪れて観察してみたい。
事前にサイトで確認したら明石の風物にちなんだ「めで鯛もなか」が異様に気になった僕だが、バックパックの中で崩れてタイがアジやヒラメになってもつらいので濃厚いや、濃密なあずきを極太の明朝体で感じさせる「梅の春」をチョイスした。ほう、リアルな竹皮で包装されていた。
自宅に帰ると2日間ほど寝かせて一口頬張った。いや、五~六口だったかも知れない。だから、そんなことはどーでもいいんです。すると案の定、極めて濃厚かつ濃密だった。いい。実にいいあずきっぷりにご満悦。物理的にも重厚感がある「梅の春」ゆえにいざというときには我が身を守る鈍器としても使用できる。そんな気はしない。では、最後に七~八口いかせてもらいます。
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