「敬天(けいてん)愛人」とは「天を敬い、人を愛する」こと。この言葉は西郷隆盛がすっげぇ好んで使った。さらに京セラ創業者の稲盛和夫氏の著書のタイトルにもなっている。あれは僕が独立して3年目の夏のことだった。ある会社の応接室の西側の壁に「敬天愛人」と書かれた額が飾られてあった。その言葉と初めて遭遇した僕は「ほう、広東省の愛人みたいですね。その隣に昇天愛人と書いてあると元気が出そうですね」とまったく悪気のない秀逸なジョークを言った。ハハハ、お客さまって簡単に失うものなのね。このように僕は多くの社長たちと出会い、そして別れた。僕は1人も手放したくはなかったのに・・・。そこで身に付いた教訓は、どんな立派な社長でもそれぞれに「人に言えない事情を抱えている」ということだ。しかし、この「事情」を誰も理解できない。これを上手に汲み取ってあげると「分かってくれる人は君だけだ」となる。しかしながら多くのダメ人間たちは、絶対に触れてはいけない恥部に気付かずに触れてしまう。それは汲んでほしい「事情」ではなく決して触れてほしくない「コンプレックス」なんだよね。